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ロードバイクとエスケープの違いは...

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実は日本から発生したエスケープ,今や全世界で売れていますが,海外ではフラットバーロードに分類されることもあるようです。はたから見ると,ロードバイクもエスケープも似たようなものですし,実際エスケープは,クロスバイクの中ではかなりロードバイクよりの性格であるとは思いますが,実際にはどのように違うのでしょうか。はたしてエスケープはロードバイクの代わりになるのでしょうか。

当たり前ですが,構造以前に用途が違います。ロードレーサーは基本的にその名のとおりレースを前提に作られています。レース中に求められる動きに応えられるよう,加速,コーナーリングに重点を置いています。それはクイックで軽い走りをもたらしますが,反面ピーキーで気の抜けない付き合いづらさも持っています。

一方,クロスバイクは生活の中で使うことを前提としています。まっすぐ走ること,ストレスなく乗れること,多少ラフに扱えることを前提としています。似たような形をしていますが,コンセプトは全く違います。

では,メカニズム的にはどのように違うのでしょう。まず,前提としてかけられるコストが違います。個人的には,クロスバイクの売れ筋は5万円前後ぐらいでロードバイクは20万円前後ぐらいの感じがします(あくまで主観です)。生活の中で使われるクロスバイクでは,おのずと上限が低いのは当然かと思います。ここではEscapeR3を例にして比較してみましょう。

で,パーツの構成を見ていきますが,まずハンドルバー。クロスバイクは一般的にバーハンドル。大してほとんどのロードバイクはドロップハンドルをつけています。ドロップハンドルは空力的には有利ですが,ショルダーバッグを背負うには前傾過ぎたり,トラフィックの多い街中ではいささか扱いづらい点があります。バーハンドルはブレーキのかけやすさや,段差などでの扱いやすさがメリットです。_20Y3167
ロードバイクの象徴,ドロップハンドル

 

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エスケープはバーハンドルで扱いやすい

サドルはと言いますと,ロードレーサーは薄く軽量で硬いシートが付いています。ロードレーサーは前傾がきついので,体重が腰以外にも分散されますので,硬いシートでも意外と大丈夫です。厚手のシートはぺダリングの邪魔になります。一方エスケープはと言いますと,ママチャリほどではないにしても,若干厚めのシートが付いています。チョイ乗りにはいいですが,ロングライドではちょっとという感じですね。_20Y3166
ロードバイクの薄いサドル。

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違うバイクについちゃってますがエスケープの純正シート。ちょっと厚め。

クランクはと言いますと,ロードはアウター52×39とか50×34とかのダブルが多いです。高級モデルになるほど軽量で高剛性のパーツを使っています。エスケープはと言いますと48×38×28のトリプルクランクを使っています。ちなみにFSA製。結構重いですね....BBはと言いますとスクエアテーパーのカートリッジタイプ。安価なマウンテンバイク用のパーツを流用していますのでどうしてもトリプルになってしまいます。_20Y3174
エスケープの純正トリプルクランク。ちょっと重い。

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一般的にロードバイクはダブル。エスケープのクランクよりはかなり軽量。

リアのギア周りはと言いますと,まず8のスプロケットが付いてきます 。8速という談数自体は,今現在ロードバイクの主流が10とか11速であることを考えると少ないような気がしますが,実際にはそれほど不満の出る段数ではありません。ただ,注目すべきはそのレシオです。写真で分かるように,1番ローギアがロードバイクのスプロケットに比べて大きいことがわかります。ロードが23Tとか25Tあたりを使うのに対してエスケープのローギアは32Tです。これもマウンテンバイクのコンポーネントを使っているせいです。これはフロントトリプルのクランクと組み合わせると極端なワイドレシオになっています。マウンテンバイクは山の中を走り回ることを前提に作られていますから,ローギアはいくら低くてもいいぐらいなのですが,エスケープは基本街乗りですから,こんな低いギアはいらないわけで,ワイドレシオは単につながりの悪いギアということになってしまいます。  _20Y3177
右がエスケープR3.1純正のホイール・タイヤ・リアスプロケット。左はロード仕様。

ブレーキはと言いますと,ロードバイクはキャリパーブレーキ。EscapeはVブレーキ(テクトロのショートタイプ,レバーにはベル付き)が付いています。効きの良さではVブレーキだからと言って問題はありません。マウンテンバイクに使われるように,太いタイヤにも対応できるのが特徴です。ロードバイクは21~25cくらいに対応したキャリパーブレーキが装着されます。この二つのブレーキはレバーに互換性がありませんので,エスケープをドロップハンドルにしづらい要因になっています。_20Y3158
テクトロのショートVブレーキ。効きは十分。

ホイール,タイヤはと言いますと,エスケープもロードバイクも 700cという共通の規格を使用していますが,ロードバイクが23cという太さなのに対してもっと太めの28cという幅のタイヤを使用しています(MaxxisのDetonator)。ママチャリなどに比べるととても高圧まで入るので,転がりは軽いですが,23cという細さのロードバイクに比べれば重量も転がりも重くなります。ただし,段差の乗り越えなどは少し楽になります。ホイールも一見似たような外見をしていますが,若干リム幅は広いです。重量も,ロードバイクに使われているホイールに比べると重めです。ですが,エスケープはエンド幅がロードバイクと共通なので,あとからホイールを変えるのが容易です。_20Y3143
エスケープのホイールは重いが見た目は悪くない。

フレームはどう違うのでしょう。もちろん,一般的に高価なロードバイクの方が軽量であったり仕上げが良かったりはしますが,その他に違いはあるのでしょうか。実は,加速の良さやハンドリングなどはこのフレームによるところが大きいわけで,レースを前提に作られているロードバイクのフレームはそのあたりに大変シビアに作られています。クロスバイクに比べて挙動がクイックです。クロスバイクのフレームはハンドルポスト位置が高く,状態を起こして楽に乗れるようになっています。ハンドリングのクイックさはアリませんが,まっすぐ安定して走ることができます。これは,フレームとタイヤのクリアランスの少なさを見ても,ロードバイクがホイルベースを短くして動きをクイックにしていることがわかります。_20Y3170
ロードバイクはタイヤとフレームのクリアランスが狭く,ホイルベースも短い。

フロントフォークも自転車の中では重要なパーツです。ロードバイクでは軽量でしなやかなカーボン製を使うことが多いです。対してエスケープR3ではクロモリ製を使用してます。クロモリは重さこそありますが,強度や粘りに対しては非常にすぐれた特性を持っています。安定した高速走行が可能なのはこのフロントフォークの恩恵が大きいと思います。_20Y3163
エスケープR3のクロモリ・ベンドフォーク。デザインはオーソドックスで重さもあるが特性はイイ。

という具合に,ロードバイクの代用品として見られてしまうこともありがちなクロスバイクですが,実はかなり違うことがわかります。ただ,この違いというのは,必ずしも劣っているという意味ではなく,乗りやすいということでもあると思っています。カスタマイズはこの特徴を押さえて進めていくといいと思います。

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